葬式ごっこを読んで
「このままじゃ生きジゴクになっちゃうよ。」
これは八年前、いじめをうけ自殺した、鹿川祐史君が遺書に書き残した文章だ。
生きジゴクとは、生きているがジゴクのようにつらかったということだろう。
いじめの一つである。「葬式ごっこ」は鹿川君の葬式をすることだ。自分が
死んだとみんなに思われるなんてとてもつらかったと思う。
鹿川君の机の上には、せんこう、きくの花、みんなの署名がおかれ、これにはなんと
先生たちの名前もあったという。鹿川君はどんな思いだっただろう。くやしく、言葉に
表せないぐらいみじめな気持ちになったに違いない。
しかし、自殺をしたからといってなにもよくならない。ただ自分が「いじめ」から
にげているだけなのだ。やはり、死ぬことはよくない。家族や友達が悲しむだけだ。
「いじめは悪いと注意しても意味がない。悪いというじかくがないからだ」
とこの本には書いてある。多少悪いと思っている人でも、ついみんなと一緒にやって
しまう。本当に心の底からいじめを悪いとは思ってはいないわけだ。悪いと分かって
いるがなんとなくやってしまう。人間の弱いところなのだ。
八年前、鹿川君と同じクラスの人が書いている。それは現実にあったのかと思うと
とてもおそろしく思う。木に登らされ、歌を歌わせたり、顔にマジックで落書きされ、
ろうかで踊らされたなど数えきれないぐらいある。こりいじめを鹿川君は一人でなやんでいた。
あの時、注意できる人がいたら、また相談に乗ってくれる人がいたら、鹿川君は今、
社会人として生きていたかもしれない。
でも、もう、鹿川君はいまここにいない。
この本は鹿川君のことを書いているが、他の人の場合にもいえることだろう。
わたしはこれ以上、いじめで自分の命をたってしまうような社会をつくっていかないように
したい。そのためには、みんなが一人一人いじめについて考えるべきではないか。
これからは、この世の中に、鹿川君のように、いじめられて命をたっような人が
でないことを願いたい。
平成8年6ねん、嘉数小学校、「いわね」より
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